セルフケアとしての教育分析
山 添 正
1:教育分析の必要性
教育分析と言う名称は、精神分析家を養成するときに使用( training analysis Eigenthrapie Lehrtherapie)しますが、一般的には、職業カウンセラーが受けるカウンセリングは、「個人療法」(personal therapy)と呼ばれています。職業カウンセラーの成長過程であるキャリア形成のライフサイクルにおいて、最近の研究では、中年期または共感疲労(empathy fatigue)と言われる、一種のカウンセラーの職業病ともいうべき問題に直面した時に受ける人が多いと言われています。
2:教育分析の方法
心理療法(分析 カウンセリングも含む)の創始者フロイトは、カウンセラーの養成のためには、教育分析つまりカウンセラーがカウンセリングを受けるべきだと言っています。「全ての分析家は定期的に、だいたい5年に一度くらい、もう一度、自分自身に分析を課すべきである」つまり、5年ごとにオーバーホールすべきだと言っています。
また、本講習会のカウンセラー養成コースで使用しているテキストの著者であるCorey,G.先生は,「 セラピストの最も価値ある治療のための道具は自分自身(the person we are)である」と繰り返し主張されていて、「カウンセリングの最高のテクニックは元気でいることと、クライエントのロールモデルになることである」と言っている。しかし、カウンセリングはストレスが多く、「心身とも元気でいること(wellness)」は、いつもできることではない。そのために、「カウンセラーの職業仲間からカウンセリングを受けることでカウンセラーの心身の健康が維持されるだけでなく、スキルのモデルを与えられる」と述べている。
3:教育分析の効果
それでは、カウンセラーがカウンセリングを受ける(個人療法)メリットはどこにあるのでしょうか?最近、個人療法の効果が、個人療法を受けたカウンセラーたちのナラティブな個人体験の資料、または多くの研究の結果から次のような効果があることが確かめられるようになってきました。
1. 困難な職業に内在する感情的ストレスと負担を軽減する。
2.自分自身がカウンセリングを受けることで、カウンセリングを受ける抵抗が少なくなり、クライエントの抵抗に対する対処する能力が向上する。
3.カウンセラーがより明確に逆転移の理解深め、カウンセラー側の逆転移の可能性を減少させる。
4.カウンセラーとしての仲間意識とアイデンティティが育つ。
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